今年も非常に厳しい暑さのままお盆を迎えることとなりましたが、飲食店の皆様はいかがでしょうか?お盆期間は農家や市場が休みのところも多いですので、今日はいつもと趣向を変えたお盆ならではの豆知識をご紹介したいと思います。ぜひ、皆様のお店にも活用していただいて商売繫盛につなげていただければと思います。
精霊馬とは?
精霊馬(しょうりょううま)は、日本の伝統的な風習で、お盆に先祖の霊を迎え入れるために用意する飾り物です。キュウリやナスを使って、馬や牛をかたどるのが一般的です。精霊馬を作る目的は、先祖の霊を家に招き、そして再びあの世へ送り出すためです。先祖が喜んで帰ってきて、また無事にあの世に戻れるよう、精霊馬を準備することは、家族が祖先を敬い、感謝する大切な行為とされています。お盆は、亡くなられた先祖やご家族が一定の期間だけ、この世に連れ帰ってくると言われているものですが、限られた短いお盆の期間を安全に、そして少しでもこの世に長くとどまっていられるような願いがこめられています。
先祖をこの世に迎える「迎え盆」では早く呼び寄せるため、馬に見立てたきゅうりを飾ります。また、あの世にお見送りする「送り盆」のではたくさん荷物を運べるので、お土産をいっぱいのせて帰ってもらうため牛に見立てたなすを飾ります。地域によって異なる場合もありますが、代表的な精霊馬の考え方となっています。
きゅうりもなすも夏が旬の野菜で日本全国でかつては盛んに栽培されていて入手しやすい定番野菜ですから、旬のおいいしいものをお供えするという意味でも活用されていたと言われています。
日本のお盆は一般的に8月13日から16日まで行われることが多く、この期間中に精霊馬を作って仏壇や玄関に飾ります。
なぜキュウリとナスなの?
精霊馬でキュウリとナスが選ばれた理由には、いくつかの説があります。これらは、それぞれの特性と日本の農業文化に密接に関係しています。キュウリとナスは夏が旬であり、特にお盆の時期に豊富に収穫されます。新鮮で豊富な夏野菜を用いることで、季節感を取り入れ、先祖の霊を迎えるのにふさわしい食材として選ばれました。
お盆にまつわる話で馬、牛に見立てている事例を先ほどご紹介しましたが、緑色のキュウリは若々しさや新鮮さを、また躍動感を象徴し、スピードと帰省の喜びを表現しています。
紫色のナスは、高貴な色として伝統的に重んじられ、落ち着きや安らぎを象徴しています。先祖の霊が穏やかに戻って行く様子を表しているとも考えられます。
これらの野菜は、仏教的な儀礼における供物としても重要視されています。日本では、野菜や果物を「縁起物」として扱う文化があります。キュウリとナスを用いて精霊馬を作ること自体が、先祖を大切にする心を表す行為として広く受け入れられてきました。キュウリとナスを使った精霊馬は、単なる飾りではなく、信仰や敬意を表す象徴的な存在としての役割も果たしています。
キュウリやナス以外の事例もある?
中にはほおずきを飾る地域もありますが、こちらはお盆のはじめに先祖の霊が迷わずに家に帰ってこれるように、迎え火という道しるべとなる提灯を飾ることを表しています。ほおずきは提灯に似た形をしており、鮮やかな赤色で灯りを連想させます。この意味から、ほおずきは迎え火の提灯の役割を果たすものと考えられています。
また、沖縄のような地域ではさとうきびを送り盆の際、先祖が帰るときに使う「杖」に見立ててお供えしていることがあります。
精霊馬は日本独自の文化ですが、お盆のような祖先を迎える行事は他のアジア諸国にも存在しますが、それぞれその地域で多く収穫される野菜や果物が代替素材として選ばれることが多いです。
8月に採れるキュウリとナスの生産地は?
●キュウリ
・宮崎県
・群馬県
・福島県
・高知県
・鹿児島県
●ナス
・高知県
・福岡県
・熊本県
・群馬県
・千葉県
特に共通している群馬県や高知県について、なぜ生産が盛んなのかご紹介してみましょう。
群馬県は関東地方のナスの主要生産地であり、夏の暑さと豊富な水資源を利用してナスとキュウリ両方の栽培が盛んです。下仁田キュウリ、夏すずみ、下仁田ナス、前橋ナスなどが主な品種です。
また、高知県は、温暖な気候を活かして年間を通してキュウリの生産が行われています。特に8月は生産量が多く、品質も高いと評価されています。日照時間についてもナスの栽培に適しています。四万十キュウリ、土佐一号美男(びなん)ナスなどの品種が特にブランド野菜として名を挙げています。
ナスやキュウリが夏野菜として選ばれる理由とは
きゅうりは成分の90%以上が水分のため、栄養価はあまり高くありませんが、ミネラルが含有されています。中でもカリウムが豊富なため、夏ばてやむくみの防止に効果がある野菜です。きゅうり独特の青臭さは「ピラジン」という成分で、血液をサラサラにする効果があり、血栓の予防効果があり心筋梗塞や脳梗塞を予防する効果があるとされています。
なすも同様に90%以上が水分の野菜です。なすの皮部分には「アントシアニン」というポリフェノールの一種が含有されており、高い抗酸化作用があります。目や肝臓の働きを活性化させる効果や、血圧の降下、コレステロール値を下げて動脈硬化などを予防する効果があるとされています。また、「クロロゲン酸」という成分もあり、アントシアニンと同様に高い抗酸化作用があります。
以上のように、暑い時期を乗り切るための特徴が詰まっている旬野菜として栄養分も選ばれるポイントとなっていますので、ぜひメニュー提案の際に知っておいていただければと思います。
今回はお盆シーズンの野菜にまつわる話をご紹介しました。弊社「アジアインタートレード」では取組を行っております。全国100以上の野菜卸から一度に仕入れ価格を比較して新鮮な国産野菜を配送することができます。全国の卸売市場を対象としていますので、お近くの市場からお目当ての野菜を最適価格で仕入れ、配送を受けることを可能にしました。お役に立てるかと思いますので一度ご覧いただければ幸いです。
野菜の仕入れに関してのお問い合わせは、アジアインタートレードまでお願いいたします。
電話:03-6454-4363
メール:kiyoshi.takagi@apconsulting.jp
担当:高木まで