2024年6月にんじんの値段が高くなっている理由とは?

すでにお気づきの方も多いと思いますが、農林水産省がニュースを発表しました。人参の価格が48%増になっているそうです。原因は千葉県の天候不順ということで、ジャガイモなど他の野菜にも影響が出ているようです。飲食店の皆様においてはメニューの頻出食材であるにんじんの高騰には頭を悩まされているのではないでしょうか?今回は、にんじんの価格高騰と対策についてご紹介しています。

 

にんじんの価格高騰の原因とは?

●生育環境の悪化

にんじんの苗は発芽温度は8~30℃と幅広いのですが、最適温度は15~25℃と言われています。 発芽に要する日数は温度の影響を強く受け、15~20℃では8~10日で発芽するのに対し、10℃では14日、5℃では30日以上かかるばかりか、発芽率も発芽揃いも悪くなります。 また、35℃以上になるとほとんど発芽しません。高温と干ばつは、にんじんはもちろん多くの野菜にとって良い生育条件ではありません。高温の環境では、野菜の葉面から水分が急速に蒸発しやすくなります。この結果、野菜は水分ストレスにさらされ、十分な水分を吸収できず、乾燥してしまいます。水分不足になると生育や色鮮やかな野菜になりくいです。

同様に、発芽可能な8~30℃ですので低温になる場合も発芽しないということが起きます。今年については2月~3月に例年より寒い期間が長く続いたためにんじんの生育に影響を受けています。

他にも、高温になると野菜の体内の酵素の働きが弱くなり光合成にも悪影響があったり、野菜の根にストレスを受けて土から水分と栄養を十分に吸収できなくなったりします。これら高温、干ばつの影響で野菜の収穫量が減少し、供給不足が生じ、価格が高騰します。

 ●水資源の制約

干ばつの際、ご承知の通り農地に十分な水を供給することが難しくなります。水不足は野菜の生長を妨げ、生産コストを増加させますので、野菜の価格が上昇します。

 ●病害虫の増加

高温と乾燥は、野菜にとっての病害虫の発生リスクを高めます。これにより、農家は農薬や他の防除措置を増やさなければならず、コストがかさみ、価格高騰に寄与します。

 

 

今回については主産地の千葉県が天候不順のため高値が続いていて青森や北海道などで出荷が始まる7月ごろまではにんじんの価格が高止まりとなりそうです。

 

にんじんの旬、生産地とは?

私たちが普段食べている、スーパー等で見かけるにんじんは、西洋人参の中でも「五寸人参」と言われています。このニンジンの旬は、秋の終わりから冬にかけての10~12月頃。年中手に入る人参ですが、冬のほか春にも出荷量が多くなります。生産量は北海道が多いですが、冬に収穫されるものは「冬人参」といわれ、主な生産地は千葉県や青森県。春に収穫される「春夏人参」は徳島県や千葉県で生産されています。にんじんは普段から貯蔵されており需要に合わせて供給量を調整することで、豊作・不作に大きく影響されず価格が安定しやすい傾向にあるようですが、今年についてはなかなかその対策が活用できないほどの不作となりつつある状況です。

ちなみに、にんじんの生産量の日本一は北海道で、全国シェアは32%です。生産量1位の北海道、2位の千葉県、3位徳島県の3道県あわせて、国内生産量の約57%を生産していますが、春~夏のこの時期については多くが千葉県産、徳島県産になりますので春夏トップシェアかつ1年を通して2位3位の産地が現在不作になっていることが価格高騰の大きな原因となっているわけです。

 

では、価格高騰の対策はどのように講じれば良いのかを見ていきましょう。

にんじんの仕入れの工夫とは?

飲食店の仕入れ担当者にとって、にんじんはメニューの多くに欠かせない重要な食材ですので具体的な対策が必要となると考えられます。特に1番最初に挙げさせていただく、「産地リレー」については価格高騰の影響の際に最も必要な知識になります。野菜卸や業務用野菜などを活用した対策についてご紹介します。

 

●産地リレーについて理解する

日本は南北に長く、気候等の違いから同じ野菜でも収穫時期が異なります。「産地リレー」とは、時期により産地を変えながら集荷することで、年間を通して安定的に野菜を供給することをいいます。例えば、前述したにんじんの生産ランキングを元に、千葉県や徳島県が価格の影響を受けているなら離れているその他の生産盛んな地域を仕入れの候補にしてみると価格は抑えられる可能性があります。

●野菜の仕入れ先を複数持つ

野菜を仕入れる際に、仕入れ先の選択肢を持っておくことが重要です。複数の野菜卸業者と提携し、リスクを分散化させましょう。野菜卸業者にも得意な野菜や地域や季節がありますので、応じて異なる供給源を検討し、価格変動への対策を立てます。

 ●農家との連携

卸売市場や野菜卸との日頃の連携の中で、直接農家とのやり取りをすることや紹介をいただけることがあります。直接契約農家とすることで、中間マージンが入りませんので価格高騰への対策となります。長期的な契約などお互いのメリットデメリットを考慮し、農家との信頼関係を築きましょう。

 ●野菜在庫管理の最適化

在庫の適切な管理は、仕入れコストを削減する鍵です。余剰在庫を抱えることなく、需要予測を行い、必要な分だけを仕入れるように心がけましょう。特に、業務用野菜卸なら小口で仕入れができたりカット野菜や冷凍野菜など幅広く対応できるので在庫管理という面ではオススメしております。

 ●野菜の品種選定

価格の安定した野菜の品種選定も重要です。特定の野菜が高騰しやすい場合、代替品種を検討し、価格変動への対策を講じます。特に、今回でしたら北海道産のにんじんの価格高騰しているため愛知産、熊本産の他の地域のにんじんをリサーチしたり、外国産やB級野菜などを検討することも必要です。この点についても業務用野菜卸なら、選択肢を多数持つことができます。

 

にんじん加工野菜の活用とは?メリットデメリット

どうしても野菜の仕入れ先で良品を見つけること、価格との折り合いがつかないという場合は所謂カット野菜なども候補として考えていただくことができます。最初から野菜がカットされていて、調理するだけの状態になっているカット野菜は、時間のない飲食店に便利ですので、カット野菜を取り扱っている野菜卸の業者も多く、注目を集めています。カット野菜についてもメリットデメリットをご紹介致します。

カット野菜のメリット

●人件費と時間が削れる

野菜を洗ったり、殺菌したり、カットしたりといった工程が省けるので、人件費と時間が削れます。小さい飲食店で、少人数で調理をしている場合は、他の調理に回せる時間が増えるので便利です。特に人出が足りなかったり、調理の時間のみ人出が欲しいという方には向いています。

●ゴミが減る

野菜の皮や、使わない部分を捨てることが少なくなるので、調理後のゴミが減ります。飲食店では、多くのゴミが出て片付けも大変ですが、カット野菜は使う部分だけが届くので使いやすいです。ゴミが多く出る野菜のみ、カット野菜を使用しているという飲食店もあります。

●価格が変動しにくい

通常の野菜卸は、季節により金額が大きく変動することが多いです。カット野菜の場合は、原価の価格が変動しにくいという特徴があり、計算がしやすくなります。毎回価格が変動が激しい野菜を仕入れている場合は、カット野菜の方がコストがやすくなります。

 

カット野菜のデメリット

●野菜の単価が高い

通常の野菜卸で購入する野菜と比べると、カット野菜は原価が高いです。同じ野菜でも加工が加わることで、高いものだと1個あたり100円も高くなることもあります。加工する時間や、ゴミの捨てる手間などを考えて、元が取れそうな野菜のみカット野菜にするのがおすすめです。

●鮮度が落ちやすい

最初から野菜がカットされて届くので、カットする野菜と比べて鮮度が落ちやすいです。野菜卸をして、すぐに使用する場合は特に変わりありませんが、数日に分けて使用する場合は注意が必要です。にんじんなど切り口から赤みが出やすい野菜や、フルーツはなるべく早めに使いましょう。次の日まで保存する場合は、密閉された袋に入れるのがおすすめです。生野菜のメニューを使用する場合は、鮮度が高いうちに使い切れる量を注文しましょう。

 

今回は、にんじんの価格高騰と対策についてご紹介しました。弊社アジアインタートレードでは、全国100以上の中央卸売市場から最安値を比較して、最寄から仕入れることができるお手伝いをしております。野菜の価格高騰のような厳しい環境でも、お役に立てる情報があるかと思いますので、ぜひご覧いただければ幸いです。

野菜の仕入れに関してのお問い合わせは、アジアインタートレードまでお願いいたします。

電話:03-6454-4363 

メール:kiyoshi.takagi@apconsulting.jp

担当:高木まで