雪下野菜の産地は?甘さの秘密とは?

雪下野菜は、雪中野菜、越冬野菜などとも呼ばれていて、雪の下で越冬させた野菜のこといいます。通常は秋時期に収穫予定のニンジン、ダイコン、キャベツなどの野菜を収穫せずに、そのまま雪の中に寝かせることで春先まで野菜を保存しておけるのです。雪の多い地域では、昔からの生活の知恵として、冬場の積雪で野菜の育成ができないため、秋のうちに収穫した野菜を雪の中に埋めて保存する雪室野菜で、食料として保存していたことが由来です。今回はこの雪下野菜についてご紹介致します。

 

雪下野菜の産地

雪下野菜の主な産地は山形県になります。そして、そのなかでも山形市、天童市、寒河江市、河北町、村山市といった地域が特に盛んです。これは内陸部の平野なら積雪量が多くても50cmほどなので、積雪があっても手作業で掘り起こすことが可能なので定期的に貯蔵した野菜を供給できることが理由です。

かつて、この積雪が少ないエリアで野菜を貯蔵しておくことで、積雪が多くて野菜などの食料が確保できない地域へ、供給することから始まりました。以上のような貯蔵の需要があったことから、独自の野菜の雪下越冬技術が高まっていって現在の雪下野菜の形になっています。

雪下野菜の収穫時期は、12月下旬から3月下旬まで野菜の種類によって変化しますが、キャベツは春先まで収穫ができます。 収穫前には、畑に積雪した雪を除雪し、スコップで野菜を掘り起こして出荷するので、通常の農作業よりも重労働で時間もかかりますが、雪下野菜の魅力を求めて購入する消費者がいるため現在も生産されています。

 

雪下野菜が甘くなる秘密

雪下野菜が通常の野菜よりも甘いのは糖度が上がるからだと言われている場合がありますが、実は糖度はほとんど変わりません。では、なぜ雪下野菜は甘くなるのでしょうか?

あまりに寒くなる野菜は細胞が凍結してしまうので、凍らないよう自己防衛本能が働きます。野菜の主成分であるデンプンは氷点下になると凍り始めるので、野菜自身の酵素を働かせてデンプンを糖に変えます。糖は約ー10度まで凍結しないため、デンプンから糖化した野菜は凍らずに生存するという仕組みです。

雪国では外気がー10度になることはよくありますので、雪下野菜として覆っている雪が外気から野菜を守って、さらに適度に湿度が90%以上もある環境で、野菜の鮮度が落ちずに貯蔵にも向いている状態になります。

デンプンが糖に変わると甘くなる理由については、デンプンが分解されるとマルトースという甘味成分に変化します。マルトースは麦芽糖ともいい、水あめの主成分とされるほど甘みのあるものになります。ご飯をよく噛んでいると唾液の消化酵素でデンプンが分解されて糖になって甘みが出てくるのと同じ原理です。

 

雪下野菜の種類

●雪下野菜、越冬野菜

野菜を収穫せず、雪が積もっている状態(キャベツ、人参、かぶ、ごぼう、長芋)

 

●雪中野菜

野菜を収穫した後に畑の一部に集めて藁などをかけておき、その上に雪が積もっている状態(大根、白菜)

 

●雪室貯蔵、雪室野菜

野菜を収穫した後にコンテナなどに入れて、コンテナごと雪で覆う状態(りんご、キャベツ)

 

 

雪下野菜は特に定義されているわけではありませんので、以上のように地域ごとに微妙に違った方法で保管されたり、様々な呼び方をされています。雪下キャベツ、雪下ニンジン、雪室リンゴなどのように呼ばれていてブランド野菜のように取り扱いされていることも増えています。

 

以上、今回は山形県でこれから収穫が盛んになる雪下野菜についてご紹介しました。地域の美味しい野菜は、その地域の野菜を知り尽くした野菜卸から仕入れるのも良い方法だと思います。ただし、お住まいの地域によっては配送の対象外になってしまうケースもあります。こうした場合は、全国の卸売市場を通じて新鮮野菜を配送するシステムを持っている弊社「アジアインタートレード社」がお役に立てます。

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