日本でもゲノム編集食品の届け出第1号である、GABAが多く含まれていて血圧を下げる効果が期待できるトマト「シシリアンルージュハイギャバ」が厚生労働省と農林水産省に届け出されています。ゲノム編集というと、現在摂取が進んでいるコロナウイルスのワクチンもゲノム編集技術が使われています。今回は最近よく耳にするゲノム編集と遺伝子組み換えはどうちがうのか?ご紹介していきます。
遺伝子組換え食品はどんなもの?
厚生労働省が食品衛生法に基づいて、最新の科学的な根拠をもとに安全性の審査を行っています。審査されていない遺伝子組換え食品の輸入や販売は禁止されており、違反した場合は回収命令等の行政処分が科せられます。販売・流通が認められてるのは以下の8作物です。
・大豆(除草剤に強い)
・なたね(除草剤に強い)
・パパイヤ(病気に強い)
・てんさい(除草剤に強い)
・わた(除草剤、害虫に強い)
・じゃがいも(害虫、病気に強い)
・アルファルファ(除草剤に強い)
・とうもろこし(除草剤、害虫に強い)
遺伝子組換えとは、例えば、病気に強い遺伝子をトマトに組み込むことで、丈夫で生育の良いトマトができる技術になります。野菜等に新たな性質を与えるために、他の生物から遺伝子を取り出して、組み込んでいき、目的とする性質だけを効率よく短期間に改良でき、有用な遺伝子を種を超えて組み込むことが可能です。通常ですと、作物は品種改良によって性質を変えていきますが、膨大な時間を要すために遺伝子組み換え技術が活用されています。
このように作物の機能性を充実させていますが、安心安全のために食品としての安全性が確認された遺伝子組換え食品については、JAS法及び食品衛生法によってパッケージ等に表示制度がありますので、見かけたことがある方も多いのではないでしょうか。
ゲノム編集はどうちがうのか
ゲノム編集は作物がもともと持っている性質を改変する方法です。遺伝子組換えは先ほどご紹介しましたが、作物が持っていない新しい性質を、他の作物などからの遺伝子を付け加える方法になります。ゲノム編集の基本は、外から新たに遺伝子を付け加えるのではなく、作物の中の働きがわかっている遺伝子を狙って切断したりして変えることを狙います。遺伝子となっているDNAの特定の位置を切ると、通常はは生物の本来の機能によって元通りに修復されますが、突然変異が起きることがあります。その結果、狙った遺伝子が変化して機能が変わります。
ゲノム編集が話題になっている点としては、1年~4年ほどで実用化にたどりつくことができることです。通常の品種改良で実施する場合には、作物の優良品種の種子を交配させたり、化学物質や放射線に当てたりして、DNAに変異を起こさせます。その結果、いろいろな遺伝子に変化が起きて狙った遺伝子が偶然変異したものを選ぶ工程をとりますが、膨大なテストを実施するため実用化に10年以上かかることが多いです。そうすると、せっかく有益な品種改良であってもコストがかかりすぎているため、回収のために品種改良した作物の価格が非常に高くなってしまうなどのデメリットが発生します。冒頭でご紹介したトマトの他に、毒のないジャガイモ、肉厚のタイ、収穫量の多いイネ、おとなしい性格のマグロなど様々なものが認可待ちになっています。
まだまだゲノム編集、遺伝子組み換えの作物と聞くと「食べて大丈夫か?」と不安な方もいらっしゃると思いますが、きちんと国の機関で認可されて安全性は確保されている有益な機能がある野菜です。実用化が進んで上手に活用したいですね。弊社アジアインタートレードでも全国100以上の卸売市場から最安値で野菜を調達できるお手伝いをする取組を行っております。お役に立てる情報があるかと思いますので、ぜひご覧いただければ幸いです。