国産野菜と外国産野菜の違いとは?

外国産野菜、輸入野菜と聞くと、あまり良いイメージを持っていない方がまだまだ多いのではないでしょうか?「農薬が心配」であったり「生産工程など衛生面が不安」というマイナスなイメージがあるように感じます。これは2002年に起こった中国の冷凍ほうれんそうの残留農薬の事件の記憶から来るものとなっていて、この時をきっかけにより一層「国産使用」をアピールする品物が増えたり、消費者も生産地などの表示を気にするきっかけになっています。しかし、一方で外国産野菜は輸入量がどんどん増えています。今回は国産野菜と外国産野菜のちがい、それぞれのメリットをご紹介しますので上手に活用できる一助になれば幸いです。

 

国産野菜と外国産野菜メリットデメリット

●国産野菜のメリットデメリット

天候、季節により価格が変動

規格が厳しく形や大きさが均一

鮮度が良く、品質も安心・安全

 

●外国産野菜のメリット・デメリット

国産品より価格が安い

価格変動が通年で少ない

収穫から時間が経っている

規格が様々で不揃いなことがある

野菜によっては、割れ、傷みがある

 

特に、鮮度の面では輸入という物流面での時間デメリットがある分だけ国産野菜とは差が出てしまいます。このようなデメリットを解決しているのが「冷凍野菜」になります。輸入量が毎年増えているのも「冷凍野菜」が中心となっていて、国産野菜と外国産野菜の最も違うポイントと言えるかもしれません。その理由としては、低価格のチェーン店の外食産業だったり、共働きや高齢化で家庭での調理に時間をかけず簡便性を求める方が増えていることがあげられます。大手のスーパーの冷凍食品売場や、最近はコンビニ等でも冷凍野菜のコーナーは年々拡大しています。それでは、この外国産の冷凍野菜は栄養価、安全性に問題がないのか?という点についてさらに深堀してご紹介していきます。

 

外国産野菜の栄養価

国産野菜、外国産野菜を問わず、冷凍野菜と生鮮野菜の間に全く差がないわけではありませんが、「人間の健康に影響するレベルでの影響は見られない」というものが結論になります。「ブランチング」という技術を聞いたことがありますでしょうか?冷凍野菜の栄養価が多く保たれている理由は、野菜の栄養価が豊富な旬の時期に新鮮なうちに収穫し、カットして「ブランチング」という加熱処理を施してから一気に急速冷凍します。ブランチングの通常調理の70〜80%程度の加熱処理方法により、カット野菜の味や栄養価が落ちるのを防ぎ、また変色の防止にも作用します。冷凍技術も常に進歩しており、ブランチングと組み合わせ一番栄養価が高い状態で冷凍保存することで、酸化や酵素の働きを抑制し、さらに細菌の繁殖も防げるため、野菜の品質を保つことができるのです。

 

また、国民生活センターが冷凍野菜の比較テストを実施していて、全体の栄養価は生鮮野菜と比較しても損失が少なく、むしろ「ほうれん草」などであればビタミンやミネラルなどの栄養価が生鮮野菜と比較しても多かったという結果が証明されています。ただし、一般家庭で生鮮野菜を冷凍保存しても同じかというと、そうとは限りません。大事なのは「すぐに茹でて冷凍」すること。一般家庭の冷蔵庫だと、どうしても野菜の栄養価が逃げてしまいますのでご家庭でブランチング処理はうまくいかないかもしれません。

 

なぜ冷凍した野菜の方が栄養価が高くなることがあるの?という疑問についてですが、冷凍すると水分量が減るので、食品成分表に記載されてある「100g当たりの成分値」を算出すると、水分が減った分だけ数値が高くなるという点。さらに、ブランチング加工の際、大量収穫できる旬の時期に収穫して冷凍加工するので、時期的に栄養価が高くなる点。このようなことから外国産の冷凍野菜についても問題なく栄養を摂ることができることがわかっています。

 

外国産野菜の安全性

外国産野菜の安全性についてのイメージで最も多いのが農薬ではないでしょうか?前述しました2002年の冷凍ほうれん草の残留農薬の問題は基準値以上の農薬(クロルピリホス)が検出され、新聞等で報道されました。これ以来、外国産野菜は安全じゃないというイメージになりました。

意外かもしれませんが、⽇本は農作物の栽培において世界でも有数の農薬を消費しています。「農薬」と聞くと、いかにも体に悪いイメージがあるかもしれませんが、実は質の良い農作物を育てるためには農薬が必要なこともあるのです。

 

⼤事なことは、「農薬の残留量」を検査し、安全で適正な使⽤を推奨することです。なぜなら、残留農薬は全く検出されない結果だとベストですが、残留させないように薄めすぎると薬の効果も減少するので収穫量や野菜の品質にも影響が出ます。農薬をできる限り残留させてないようにしながら効果的となるバランスのよい数値が決められていますが、クロルピリホス基準値は、ほうれん草( 0.01ppm)ですが、玄米(0.1ppm)レタス (0.1ppm)はくさい(1ppm)ケール( 1ppm)と厚生労働省の基準値は野菜によって違います。

何が言いたいかと言いますと、ほうれん草の基準値0.06ppmの10倍の濃度でも、はくさいやケールでは基準値に収まりますので、一概にクロルピリホス0.01ppm以上あると危険、買わない方がいい野菜と判断すると、外国産野菜だけでなく国内で流通しているあらゆる野菜も同様に危険になってしまいます。

結局のところ、国内で流通している野菜は食品衛生基準・輸入食品監視(検疫所:食品監視窓口)をクリアしていますので健康上問題がないということになりますので、安心して食べることができると言えます。

 

また、最近はトレーサビリティと言って、原材料の調達から生産、流通まで一貫し、その経路の追跡が可能です。外国産野菜であっても「商品がいつ、どこで、誰によって作られたのか」を記録している生産システムをとっているところが多くなっています。万一、出荷後の商品に問題が発生した場合、原材料の使用実績にさかのぼって調査して原因を究明し、再発防止ができるような仕組みになっていますので安心安全につながっています。「外国産野菜」に良いイメージがないとに取られがちですが、以上にように日本で流通している野菜は、国産でも外国産でも検疫を通り、残留農薬などの検査をクリアしています。

 

外国産野菜の上手な使い方

例えば、飲食店の場合は安価なメニューを取り入れる事もありますし、コロナ禍で新たにテイクアウトを始めた場合などは、輸入野菜を上手取り入れることにより、原価率や手間暇の削減に効果があります。また、今年のように天候不順により国産野菜が高騰している場合など、一時的に外国産野菜に切り替えて使用するのも効果的かと思います。栄養価や安全性、メリットデメリットについてはご紹介させていただいた通りですので、ご活用ください。

 

弊社アジアインタートレードでも全国100以上の卸売市場から最安値で野菜を調達する業務用野菜卸の取組を行っています。お役に立てる情報があるかと思いますので、ぜひご覧いただければ幸いです。