農薬を使わずに室内などで環境要因にも左右されず野菜を育てることができる植物工場。そこで作られる工場野菜が増えていますが、栄養価や健康面では問題ないのか?気になりますよね。結論から申し上げますと、通常の野菜とそん色なく問題ありません。むしろ、メリットのほうが多いという点について今回はご紹介していきます。
工場野菜とは
太陽光の代わりに光源をLED、土の代わりに培養液を循環させて、温度や湿度をすべてIT管理した中で野菜を育てる。家電や車を造るような環境下で、野菜を大量生産すれば、安定した供給量でコストを抑えて農薬の心配もなく安心安全に栽培できるという仕組みです。近年では異常気象や害虫、雑菌による病気や、異物混入などに気をつけている外食産業は非常に多いため、活用される場面はよくあります。特に、形や品質をコントロールできるので、例えば葉っぱがちょうどサンドイッチの大きさになった状態で収穫ということも可能なため、一定の品質を必要とするような場合では重宝されていると言って良いでしょう。
工場野菜のメリット
・安心安全
屋内で作ることが多いため、ほぼ無農薬でも害虫の影響を受けず、農薬の危険性がほとんどありません。生産者、生産場所も明確になっているため、一定の基準以上の衛生管理で生産されていることがわかる消費者の安心につながりやすい。
・栽培環境を選ばない
天候や季節も左右されず、寒冷地や酷暑地でも栽培ができるので、輸入に頼っているような野菜でも年中入手することができることにつながります。異常気象で不作ということにもなりませんので、不作や価格の高騰も起こりにくく安定供給につながります。通常のハウス栽培よりも栽培面積も狭くて済みますし、供給先のそばで工場建設すれば物流のコストを下げることにも繋げることができます。
・品質、品種、生育を管理できる
では、工場野菜は健康に良いのか?味や栄養価はどうなのか?不安というのが一般消費者の認識となっていますが、むしろ栄養や、味ですらもコントロールできる時代になっています。最近は「機能性野菜」と呼ばれ通常の野菜よりも、栄養価が高く栽培されている野菜が流通することが増えていますが、この機能性野菜についても工場野菜ではコントロールして栽培することができます。また、先ほどもサンドイッチの例を挙げましたが、全国展開している飲食チェーンの場合は、東京で買っても大阪で買っても同じブランド品質を保証することを目標にしています。全国どこで買っても同じ味、大きさ、品質…そんなニーズを満たすには、工場野菜はもってこいの野菜なので積極的に活用されています。
工場野菜のデメリット
・コスト
太陽光の代わりにLED、冷暖房等の空調を1日中使っているため製造コストの大半が電気料金となっています。またビニールハウスなら1800万円程度で済むところが、植物工場だと3億円かかると言われています。工場の設備投資コストなどの回収が必要となるため、通常の野菜よりも割高となってしまい、まだまだ市場に多く流通しているとは言えない状況です。
・消費者の認知
工場野菜と聞いた時、一般消費者のイメージは「味がうすそう」「栄養が少なそう」といったまだまだ認知されていないことが課題なのが最もデメリットとなっています。メリットとしてご紹介した安心安全や品質だけでなく、日本の農業が抱えている問題、農業従事者の高齢化や後継者不足、耕作放棄地などを解決するためにも、農林水産省は認知向上に繋げる活動を行っています。
あまり知られていない工場野菜についてご紹介しました。品質や供給の安定のために主に飲食業界で活用されているのがメリットをご覧になっておわかりいただけたのではないでしょうか?弊社アジアインタートレードでも、品質や安定した供給ができる業務用野菜卸の取組を行っております。お役に立てる情報が多いかと思いますので1度ご覧いただければ幸いです。