野菜卸の業界にも、最先端の情報技術を活かしたサービスが広がっています。
新型コロナウイルス感染症拡大の影響が広がったことにより、接触を減らすサービスで話題になった「ドライブスルー八百屋」をはじめ、最先端の技術を取り入れた野菜卸やサービスが注目を集めています。
今回はそれらの中でも、特にメディアなどでの注目度が高く、話題になっている新技術や新サービスを取り入れた野菜卸の動きについて紹介します。
アフターコロナ、ウィズコロナといわれるように、コロナの影響はこれまでのビジネスのあり方に大きな変革を迫っています。
消毒やソーシャルディスタンスの確保、接触感染の回避への配慮を求められるようになり、どこの業界でも手間とコストが増え、大変な苦労を強いられています。
その一方で知恵と技術を駆使した新たなサービスも誕生しています。
これから取引する野菜卸業者を選ぶ際に、仕入れ先がコロナにしっかり対応している点をアピールできれば、顧客にとっての安心材料にもなります。
野菜卸を選ぶ際に、最新の動きをフォローする参考になるようまとめましたので、ぜひ最後までご覧ください。
コロナ禍で注目を集めた「ドライブスルー野菜卸」
コロナ禍で生まれたサービスで、名前の通り車に乗りながら野菜卸のサービスが受けられます。株式会社フードサプライが発案したサービスで、お米や野菜を詰め込んだセットの販売がマスコミなどで話題になっています。業務用青果卸の最大手、デリカフーズホールディングス株式会社と事業提携し全国にサービスを拡大中です。
参考①:ドライブスルー八百屋
参考②:話題の『ドライブスルー八百屋』が更に全国拠点拡大へ!!
飲食店だけでなく、一般の方でも利用できるのが魅力で、車から降りる必要がないので、販売員との直接のやり取りが少ないのがメリットです。
ホームページ上では全国5か所(札幌市、仙台市、横浜市、千葉県野田市、東京都大田区)での展開が確認されています。(ほかの場所でもおこなっている模様ですが、詳細は同社ホームページからお尋ねください。)
開催日は公開されていますが、具体的な開催時間帯はウェブ上の予約フォームから申し込んだ方にお知らせされるので、一般に公開されていません。
一度に多くの野菜や果物、お米が仕入れられたり、車に直接積み込んでくれたりする点もコロナ禍の中ではありがたいサービスです。
AIを使用した野菜作りでコストを削減する「AI農業」
畑に設置した各種のセンサーから集めたデータをもとに、肥料の量・水の量をAIが計算することによって、農家の負担を減らす「AI農業」も近年注目を集めています。
水量や水温をチェックするために今までは直接計測していた農家の負担が減るので、人件費やコストも削減され、人手不足にも対応できるので、野菜の価格も下がります。
また、AIを使用して野菜を収穫するロボットや、生育状況がよくない箇所に重点的に肥料や農薬をまくドローンも開発されていて、運用を開始している業者も珍しくありません。
自社農園を抱えている企業では、AI生産を使った農園の運用が流行っています。
AIを使用した生産は今後増えていくと予想されており、人手不足や高齢化によって体力が落ちている農家の負担軽減にも役立っています。
参考:【農業AI注目企業9選】人工知能で農家の働き方改革は実現するか?
野菜の仕入れ価格を予想してくれるソフトも
AIを取り入れた技術は、生産だけでなく仕入れ価格の予想も行ってくれます。
価格の変動しやすい季節も野菜の価格を事前に予想できるので、どれくらい仕入れるか迷っている時にもおすすめです。
簡単にいえば、人工衛星が撮影した画像データを使い、気象予測データとかけあわせて、畑の生産状況からみていつ収穫できるか、収穫量はどのくらいか、品質はどのくらいか等を予測し、将来の市場価格を割り出すサービスです。
現在は1週間後と1か月後の予測で、対象作物はキャベツに限定していますが、今後扱う品目を増やすとのことです。
また、野菜の代用品を考える際も仕入れ価格を見て考えられるので便利です。
野菜の相場を株価の変動を見るような感覚でチェックできるようになると、野菜卸の業者を比較する時にも使いやすくなりますね。
参考:野菜の仕入れ価格予測サービスをリリース! 生産現場の衛星データのモニタリングや市場価格の機械学習を活用
インターネットを利用した野菜卸
外出の自粛などコロナ禍の中で、市場に出向かなくても、市場が休みの日でも野菜が下ろせるネットサービスが改めて人気を集めています。
届けてくれる業者と一緒に検品作業をする必要がないので、人件費の削減にもつながりますし感染リスクも減らせます。
大量に仕入れなくても、低コストで野菜が買える場所が多く、小売店や小さな飲食店も利用しやすいのがありがたいです。
PC上だけでなく、専用のアプリを使って仕入れをすることもできます。
アプリ上では、仕入れ値の確認や仕入れた野菜の数や金額もチェックできるので、原価計算などコスト管理の実務にも便利です。
ベンチャー企業による参入が相次ぐ中で、公設の卸売市場でもネットショップの運営に乗り出すところもでてきました。このような競争で、さらにサービスが進化することを期待したいですね。
参考①:食べチョク|農家・漁師の産直ネット通販 - 旬の食材を生産者直送
参考②:野菜・果物通販vfn-market。毎日使える品質と価格に自信ありの常時価格表示。仕入れや業務用,大量使用も対応可能
参考③:初めての方へ|大阪府中央卸売市場 ネットショップ|野菜・果物・鮮魚・・・市場の食材をご家庭に。目利きのプロが選ぶ高品質の食材
低温物流が話題!「ベジフルスタジアム」
物流の場所を低温に保つことで、野菜の鮮度を落とさないようにする「ベジフルスタジアム」(福岡市中央卸売市場青果市場、2016年開場)も人気が高い施設です。
最新のIT技術を活かして物流を徹底的に効率化しているため、野菜が入ってきてから出荷までの時間が短く、人件費や時間カットにもなっているので、常に鮮度の高い野菜を受け取れます。
袋詰めやパック詰めも同じセンターで行われているので、移動によるコストや鮮度落ちを気にしなくてよい点も魅力です。
有機野菜やオーガニック野菜など、栄養価や鮮度に特にこだわっているお店は便利です。
農家から直接取引をおこなう「オンライン卸売市場」
直接市場に出向いたり、野菜卸の業者から届けて貰ったりするのではなく、オンライン上の市場を利用するサービスです。
農家からそのままオンラインの卸売市場に野菜が運ばれてくるので、物流コストや人件費を減らせます。
農家と買い手がユーザーとして、市場に登録していることで、余計な流通を省いています。
また、オンラインなので時間を気にせずに仕入れができる点も魅力です。
農家側は手数料がかかりますが、農協に入るという作業がないので、利用している方も多いです。
他の卸売で野菜を仕入れるよりはかなり価格が抑えられていて、安定した価格で野菜が買えるのと、小ロットでの仕入れもしやすいので、小さな飲食店にも便利なサービスです。
農業ベンチャー企業が次々と参入しており、青果の取引で既存の市場を経由する割合は、どんどん下がっていますが、このような動きに対応するため既存の公設卸売市場の中でもオンラインショップを始める動きも広がっています。
参考:[WBS] 既存市場はもう必要ない!?オンライン市場の破壊力とは?
まとめ
今回は、最先端の技術を取り入れた野菜卸のサービスを紹介しました。
人件費を減らして野菜の単価を減らすサービスや、ドライブスルー、アプリやAIを取り入れた会社など、今後発展していきそうなサービスが注目を集めています。
野菜卸の業者を選ぶ際は、最先端のサービスを取り入れている会社を中心に選ぶのもよい方法のひとつです。
実際に目で見て手に取って確かめるのが基本ではありますが、野菜の仕入れは、季節によって、または天候の変動によって影響を受けやすい点が課題です。
いろいろな新しいサービスが生れていますので、こういった最先端の技術を取り入れた方法も使うことで、年間を通した安定的な仕入れに繋がります。