私たちの生活に欠かせないポピュラーなフルーツの代表格であるバナナが絶滅の危機にひんしているのはご存じでしょうか。この話が初耳という方は驚きを隠せないかと思います。しかし、なぜバナナが絶滅の危機にひんしているのでしょうか?
実は、ずいぶんと前からバナナは絶滅の危機にさらされていたという事実があります。今からさかのぼること30年ほど前から、東南アジアのバナナ農園に影響を与えていたものがあります。
このバナナに影響を与えていたのは真菌でした。当然、東南アジアの国では影響が出ていたのですが、近年になって科学者たちが長年訪れていた事態が引き起こされてしまいました。それは世界中のバナナの輸出市場の中心地となっているラテンアメリカへの上陸です。
日本でも近年、鳥インフルエンザやトンコレラなどによって鳥や豚が処分されるようなことがありましたが、バナナに関しても同じく、少しでも細菌に感染してしまった場合は、同じ農園にあるバナナを同時に処分しなければなりません。
現にコロンビアの研究所では真菌がコロンビア北部の複数の農園で検出されたために、拡大を防ぐため、バナナを廃棄し、農園を検閲したとあります。この件によって処分されたバナナの数を考えれば想像もつかないほどですよね。
今回、こうしてバナナの絶滅の危機の話をしていますが、ラテンアメリカだけでみてもこれが初めてというわけではありません。元々、1950年代以前は最も国外に輸出されていた品種はグロスミッチェルと呼ばれるものでした。
このグロスミッチェルを絶滅へとおいやったのは、フザリウム菌と呼ばれるものでした。そして、絶滅を防ぐために考えられたのはフザリウム菌に耐性のある品種をメインとすることでした。それが現在のキャヴェンディッシュです。
このキャヴェンディッシュという品種は全体においては99パーセントを占めている品種ですので、問題が生じればバナナが店頭などに並ぶ機会も少なくなってしまいます。真菌は根絶させることは不可能ですので、現状では対策はありません。
根絶は難しいということを考えれば、できる対策は拡大を防ぐということにつとめるほかないでしょう。しかし、絶滅の危機にひんしているとはいえ、希望がないというわけではありません。
確かに、ラテンアメリカでは現状では絶滅を待つほかないといった絶望的状況ですが、遺伝子編集技術を用いて真菌に耐性のあるバナナをつくる研究が進んでいるのはご存じでしょうか。すぐにということは無理でも、遠い将来バナナが復活する可能性はあるということです。
法的な面からみても、まだまだ困難な遺伝子編集技術ですが、私たちの生活を支えてくれるのは意外とこうした作物なのかもしれませんね。最後まで読んでくださってありがとうございました。